青木真也『ゴールがないじゃん』
この言葉になるほど・・・と思った。
密かに楽しみにしている皇治と青木真也のブラザーチャンネル。
ゲストは今話題の「こめお」さん。
チーム朝倉が主宰する1分間で勝敗を決する格闘技イベント「ブレイキングダウン」で人気になった方だ。
恥ずかしながらブレイキングダウンは一度もちゃんと視聴したことはない。
自分はスポーツとしての格闘技が好きなのだ。ガラの悪い方たちが、有名になりたいが為だけに怒鳴り合ったり、暴れるのを見るのが苦手であり、ブレイキングダウンに触れるのは精神衛生的に絶対によくないと思って距離を取っていた。
(無論、そう言うのを好きな方々や出場選手を全否定するつもりはない。あくまでも個人的な感情であることを留意していただきたい)
青木真也も『(ブレイキングダウンには)触れたら負け』
と公言していたため、こめおさんとの対談は一体どんな展開になるのか?とはらはらして視聴した。
・ゴールがないじゃん
対談は案の定というか、当たり前ではあるのだが、和やかだった。
青木真也もアラフォー、丸くなり、こめおさんを要所要所でフォローしつつ、会話を進めていっていた。
動画の4分ごろから、会話はこめおさんの今後について触れだす。
青木真也『ブレイキングダウンでどこに向かってるの?ゴールがないじゃん』
そこで飛び出したのがこの言葉である。それに対してこめおさんは
こめおさん『いずれRIZINに出れる選手を目指したいです。1分ルールで』
その後、話の方向は1分ルールの特殊性に向かっていき、こめおさんの今後についてはあやふやになっていった。
・RIZINはどう思っているのだろうか
こめおさんの発言って、なんだかよく分からずはてなが浮かんだ。
まず、RIZINには1分ルールはないし、RIZINはサーカス的要素も多いが国内最大の団体(競技会)である、失礼ながら素人のこめおさんが上がれるのだろうか・・・
RIZINがわざわざ素人の為にルールを新しく設けて、素人達をリングに上げまくることは現実的に考えて微妙なのじゃないかと思う。
そもそも、RIZINに上がりたいのならば、しっかり1ラウンド3分にアジャストすべきである。なぜ、上がりたいリングが個人に合わせてくれると思っているのか・・・
・そして炎上と不祥事
以上のような、人気先行、売上先行の拝金主義的な格闘技に関して悶々としていたらば、ツイッターのタイムラインに上がってくる『ブレイキングダウン記者会見での暴行』動画。
出場者同士が煽り合いの末に椅子でぶん殴って怪我させちゃったとのこと。
更に記者会見では職業差別ともとれる発言を連発する出場者もいたと話題に上がっていた。
それら一連の行為に対し、一般視聴者のみならず、有名格闘家達も批判をし、炎上するに至った。
(椅子ぶん投げたり、差別用語ってのを聞くと、個人的にはコナーマクレガーを思い出しちゃうな。レベルは違うけど)
そして、出場者のSNSに対して、品性下劣な一部の人間が過剰なまでに暴力的な発言を残していくという、炎上時にありがちなことも起きていたりして、不幸にもそう言ったコメントを見てしまった為、またもやうーんと唸ってしまった。
彼らの行為や言動が不愉快であったとしても、そこまで貶めるのは少し違うんじゃねえか?
・現代のトゥルーマンショー
とまあ、流血、暴言が飛び交いながらも、炎上効果もあってか過去最高の注目度だったみたいで、10時間で動画は300万回再生もされたんだとか。
この事実にまたもやなんとなく落ち込んでしまった。
結局、炎上すらも広報の一部に過ぎないのかも知れないからだ。
ただ、炎上は読んで字のごとく、燃やして火をつけているのだ、そして、俺は燃やされているのは他ならぬ人であるように感じて仕方がない。
ブレイキングダウンが受けている理由は、彼らの素人に毛が生えたアマチュア試合ではなく、明らかにオーディションと記者会見で見せる個性的なキャラであろう。
確かに、変なヤンキーが出てきたかと思えば、生意気な少年が現れたり、と個性豊かな出場者を見ているのは楽しい。
しかし、常に同じメンツ、展開では飽きが来るのも早い。こう言ったキャラクター先行のビジネスなら特にだ。
そのため、出場者のキャラクターインフレが起きてイベントはより過激になっていく。
注目されなければ、人気にならなければ、そんな焦りが不祥事に繋がり、炎上。
そして、不祥事を起こした本人はまるで殺人鬼の如く罵倒を食らう。しかし、炎上騒動に飛びつく人間ほど飽きが早い人種もいない。炎上した出場者は恐らく数週間後には存在すら忘れられていくだろう。
もっと言えば、大人気になった出場者もキャラクターインフレにより、消費が早くなっていき、あっという間に忘れられていく気がしてならない。
しかし、彼らを消費して燃やしまくることでイベント自体は注目度が集まり大成功し続けるのだろう。
そんな気がしてならないのだ。
もしもそんなことが起こったら、とても嫌だなと思う。
だって、消費されているのはキャラクターではなくて人間なのだから。
不祥事を起こす出場者に対してはそこまで人気になりたいのか?承認欲求やばない?
と思うし、
人の事を金を産む種としか思ってないんじゃねえの?
と運営側には感じてしまう。
このままでは、飽きるまで消費され続けていくだけで終わっていってしまう。
この記事を書くにあたって、ブレイキングダウンについて調べたけれど、真面目に格闘技に取り組んでいる出場者もかなりいるし、胸が熱くなるような試合もどうやらあるみたいだ。そんな彼らをただ人気やお金の為だけにどうか摩耗させないで欲しいと、格闘技ファンとしては切に思う。
その為にも、彼らの次のステップに繋がるような、ゴールを運営サイドには設けて欲しいなと思った次第です。