喧嘩商売は2005年~2010年まで連載されていた人気格闘漫画で、作者はパロディギャグ漫画家の木多康昭先生です。
連載当初は下ネタギャグ漫画チックな展開が多くありましたが、回が進むごとに、格闘技色が強くなっていき、続編でもある喧嘩稼業はギャグなしの格闘漫画です。
長年連載されており、絶大な人気を誇っておりますが、その人気の特徴は格闘家たちが全員智将の如く心理戦に長けており様々な思惑が渦巻くこと、また、正統派格闘漫画とは違い、正々堂々と戦うことよりも、負けれるくらいならどんな手を使ってでも勝つという倫理観の格闘家が多く出てくることが特徴であり、この漫画の醍醐味です。
この記事では喧嘩商売のネタバレ感想&あらすじと共に、人気の必殺技煉獄と、名勝負と呼ばれている主人公佐藤十兵衛と金田保の戦いを解説していきます。
VS高野編(1~4巻)
宇都宮市の行座宇都宮高校にやってきた主人公、佐藤十兵衛。十兵衛は身長180センチ以上の大柄であり、絡まれたヤンキーを瞬殺し、ヤクザを2階から迷わず投げ落とすほどのの徹底的な格闘技技術をもっていた。
しかし、彼の性格は悪知恵の働くスケベ少年で、転校早々クラスメイトの山田綾子と付き合うことしか考えておらず、山田とベッドインする為にあの手この手を考えるも失敗に終わる。
そんな折、十兵衛は高校生にして空手最大派閥進道塾で関東大会3位になった高野照久と出会う。高野は十兵衛の悪ふざけでブスのクラスメイトビクトリアと付き合うことになり因縁が生まれるも、十兵衛が格闘技の使い手であり、その容赦のない技に魅せられた高野は師匠である進道塾の青木裕平を倒し、進道塾から去り、己の道を追求するようになる。
夜の体育館で試合をする十兵衛と高野。実は十兵衛は昔いじめられっ子だったことが回想で明らかになる。いじめられて卑屈になっていたのを救ってくれたのが高野だったが、高野は十兵衛のことを全く覚えていなかった。
十兵衛は死闘の末に高野を撃破し、その時、初めてイジメられる前の自分自身に戻れたと号泣するのだった。
感想
まだまだギャグが大半をしめている序盤でしたが、高野戦は喧嘩商売の中でも純粋にお互いの技量のみで勝負をする正統派な戦いなので、純粋に熱いです。
また、ギャグパートも面白く、ほとんど下ネタですが、十兵衛がとある事情で細木〇子を見ると陰部が勃〇してしまうようになるシーンでは腹を抱えて笑いました。
VS島田先生編(5巻)
十兵衛の担任の島田先生は『女子高生ハンター』と名乗り、生徒に手を出しまくっていた。序盤こそ十兵衛と協力して女の子を落とそうとしていたが、諸々の事情から二人は対立。島田先生の実家で十兵衛は島田先生、島田先生の祖父島田清と戦うことになる。戦いの最中、実は島田先生は母と祖父が浮気して出来た子供であることが判明するなど波乱があるものの、十兵衛によって成敗されてしまう。
感想
完全なギャグパートです。漫画好きじゃないとわからないようなパロディネタが随所にあり笑わせてくれました。また、男は女に簡単に騙される『悪魔のプログラム』など、思わず頷いてしまうアルアルネタもキレッキレで最高です。
ちなみに島田先生のモデルは某漫画家先生だそうです。この後も現在に至るまで淫行ネタが喧嘩シリーズでは多く出てきます。
VS工藤編(6~7巻)
十兵衛に組員をボコボコにされた暴力団はこのままではメンツが立たないと喧嘩屋・工藤優作を十兵衛に差し向ける。
十兵衛は策を練り、工藤と戦うも工藤の圧倒的なフィジカルの前に敗北。
殺される一歩手前までボコボコにされるも、十兵衛の親が県知事であったため、ヤクザが十兵衛が死ねば問題になると工藤を制し、一命を取り留める。
感想
初の頭脳戦が見れる戦いです。これぞ喧嘩シリーズの醍醐味なので、初見の人は辛くても7巻までは読んで欲しいと思っています。
十兵衛が風上に立ち、防犯スプレーのガスを浴びせる、ドラム缶を移動させ工藤の歩く道を誘導するなどなど、頭脳戦が光るシーンが数多くあり、ここから喧嘩商売にハマった人も少なくありません。
VS橋口編(8~10巻)
十兵衛は工藤にリベンジ出来するため、師匠である入江文学の元を訪れます。
文学は古流武術富田流の継承者であり、十兵衛をいちから鍛え上げます。そして、富田流の技である金剛を授けます。金剛は相手の心臓を強く打ち、失神させる一撃必殺の奥義です(とても危険ですので絶対にマネしないように)
文学は修行の為、十兵衛に暴力団事務所を襲撃させますが、そこには元進道塾の塾生であり、全国大会三度優勝経験のある橋口がいました。橋口は暴力団の用心棒になっていたのです。
実力で勝る橋口に十兵衛は追い詰められますが、機転を利かせて金剛により勝利します。
感想
師匠である文学が登場。文学はめちゃくちゃ強いのに三十半ばを過ぎて童貞であることにめちゃくちゃコンプレックスを持っているちょっと駄目なおっさんっぷりが癖になるキャラです。また、橋口との戦いは熾烈を極め、戦いの中で十兵衛はとある戦術を使うのですが、十兵衛の武闘家として一線を越えたある意味名シーンです。
橋口に対して何をしたのかは是非読んで確かめてください。
煉獄解明(11~12巻)
橋口との戦いを終えた十兵衛に文学は『お前が負けた方が良かった』と言う。その理由は進道塾の高弟にしか教えられない秘技煉獄を見たかったからだという。
十兵衛と文学は煉獄を見る為に高弟の一人であり、元高野の師匠でもある青木に戦いを挑む。青木の道場に隠しカメラを設置して、煉獄の演武を盗み見る二人。
二人はそこで煉獄とは何かを知る。
・煉獄とは
煉獄とは一度決まれば決して抜け出せない連続攻撃だった。
煉獄は5手の技の7種類の組み合わせ(正確には左右あるので更に×2)であり、5手を打ち終わった後、7種類の中から最善の手を繰り出すことを続けることで、相手から反撃を食らうことなく体力の続く限り打ち続ける連撃のことであった。
(ゲームのハメ技に近い)
煉獄の謎を解いた文学は煉獄を用いて青木を撃破する。
その後、文学の過去が明かされる。
文学の父入江無一は若き格闘家田島彬によって殺害されており、文学が修行し続ける理由は田島への復讐であったことが明かされる。
感想
煉獄がとにかくカッコいい。技の名前も理念も技自体の派手さも最高です。
喧嘩シリーズと言えば、この煉獄を上げるひとも多いのではないでしょうか。
そして、文学の過去ですが、無一との親子の絆は涙なしには読めませんした。
VS金田戦(11巻~20巻)
修行を終えた十兵衛は工藤と再戦する為、暴力団と暴力団と関係のある格闘技団体とコンタクトを取る。そこで提示された条件は、大晦日に元柔道金メダリストにして総合格闘家の金田保と対決し、勝ったら工藤の居場所を教えるとのことだった。
金田は人間として品性下劣な男で自分の利益となることならば、道徳を殴り捨てて兵器で他人の尊厳を踏みにじる卑劣漢でした。
十兵衛戦も必ず勝つためにステロイドの服用、グローブの中にメリケンサックを仕込む、ドーピングを行い身体能力を高めるなどしていましたが、最後は十兵衛の煉獄により、倒れることさえ出来ない状況で殴り続けられ失神。敗北するのでした。
また、この間に様々な格闘家のエピソードが挿入されており、新キャラクターが次々に登場しました。
・金田戦が人気な理由
金田戦はこれまでと違い、かなり長いスパンをかけて戦いまでの道のりを描き、更に試合も複数の巻数に渡って描かれているので、単純に十兵衛と金田の因縁が丁寧に描かれていたのが人気の秘密かと思います。
また、主人公十兵衛は笑えるタイプのクズですが、金田はあまりにも卑劣過ぎて笑えないタイプのクズであり、卑怯なところはそっくりですが根本的な性根が真逆である対比がとても面白いです。
長い時間をかけて描かれたクズ野郎の金田が最後はボコボコにやられるところもカタルシスがありシリーズの中でも劇的な決着を迎えた試合でした。
・感想
金田VS十兵衛も面白いのですが、間に挟まるギャグパートも最高でした。
十兵衛の妹である萌が巨大掲示板サイト・ちゃんねるAの住人達と死闘を繰り広げるパートや、金田VS十兵衛の裏で行われる討論番組『朝までゴムテレビ』も下らなくて最高です。
・陰陽トーナメントへ(21~24巻)
工藤はヤクザによって保護されており、手出しが出来ないことを知る十兵衛。
その頃、ボクシングヘビー級チャンピオンになっていた田島はそのベルトを返上して、私財を投入し、最強の格闘技を決めるトーナメント、陰陽トーナメントを開催することを発表。
次々に発表される参加者たち。その中には師匠入江文学の名前、そして工藤の名前もあった。
十兵衛は参加者の一人を倒し、自分が出場することを画策するのであった。
感想
このトーナメント発表はとてもわくわくして読みました。
これまで現れた格闘家たちが一堂に会する時がきたのか!!!と読んでいてドキドキしていたのを思い出します。
しかし、この後すぐに休載。再開したのは2013年の喧嘩稼業であり、実に3年間も待たされる結果になるでありました。
まとめ
喧嘩商売めちゃくちゃ面白いです。分かりやすく言うと、嘘喰いのギャンブルパートと暴パートを合体させたような作品です。
もしも未読の方がいれば是非とも読んでいただきたい。おすすめです。
※記事内で使われている画像は全て株式会社講談社から発行されている喧嘩商売のコミックスより引用しています。