武術、格闘技、マーシャルアーツ、呼び方は様々だが、人は古来より徒手格闘、あるいは武器を用いて敵を制圧する術を磨いてきた。
人の歴史に闘争はつきものであり、現在に至るまで世界中で数えきれないほど様々な武術が生まれてきた。その多様さ故に、そもそも一体格闘技とはなんなのか？と疑問に思う方も多いことだろう。
そこで、この記事では果たして武術とはいったいなんなのか、その種類、そして最強の格闘技とは？に至るまで解説していく。
・武術とは？
戦闘の技術、更には哲学や文化を内包したものである。
人は原始より闘争によりその地位を自然界で確立してきた。
ある時はマンモスと戦い、ある時はライバルであるネアンデルタール人を絶滅させた。そして、もちろん人同士でも今日に至るまで戦いを続けている。
最初は手足や歯を使って戦っていた人類は知能を身に着け槍や弓を作り武器で戦うようになり、更に文明が成熟すると、今度は殺し合いではなく娯楽として闘争を楽しむようになり、闘争は競技となり、競技による死者を出さない為にルールが明文化されていった。 既に紀元前６４８年に行われたオリンピックでは後の総合格闘技の先駆となるパンクラチオンが採用されている。
このように競技化された格闘技もあるが、純然たる戦闘技術として現代まで残ったものもある。例えば、シラットやエスクリマは侵略者と戦う為に用いられ、歴史こそ浅いがクラヴマガは中東での紛争を生き残る為に作られた。
護身術として、武器を持った相手や、身体が大きな相手に対して用いるものとして進化したもの、神事として成立していたものなどは精神性が重要視され、仏教のような宗教と密接な関係にある武術もある。
武術と言っても、その性質、成り立ちは様々であり、一概にこういうものだと言うことは難しい。
・武術の分類
武術を明確に分けるのは非常に難しいが、私の主観により以下の図にまとめてみた。
ひとつずつ、順を追って説明していこう。
まず、伝統格闘技とは、古代から近世までに発生した格闘技の総称としよう。そして、その中から危険な技を禁止して、防具の着用なでを義務化することにより、競技化していったものをスポーツ格闘技と名付ける。
スポーツ格闘技はまず、徒手格闘技と武器格闘技に分けられ、徒手格闘技は更に３種類、打撃をメインにした組技や締め技の少ない打撃格闘技、打撃はなく組んで相手を倒したり締め上げたちする組技格闘技、その２種類を混ぜ合わせた総合格闘技の３種類に分けられる。武器格闘技は竹刀や棒など、殺傷能力のない模造品を用い、更に怪我を防ぐために防具で身を護るのが一般的である。
・武器格闘技・・・剣道、フェンシング、薙刀、サバット※
※カンヌ・ド・コンバットルールにおいて
一方、スポーツ化されなかった伝統格闘技群を、神への捧げものとして戦闘する神事としての性質が強い格闘技、土着宗教と結びついたりして無形文化財として残った文化格闘技、実戦で用いられてきた殺傷能力の高い実戦格闘技、更に実戦格闘技から現在軍隊で採用されている軍隊格闘技までに分類した。
特徴としては徒手格闘と同時に武器の使用方法についても学ぶことが多い。これは伝統格闘技が戦争で使用されていた名残である。
・実戦格闘技・・・シラット、エスクリマ（アメリカ軍隊でも採用されている）
・軍隊格闘技・・・クラブマガ、LINEシステム
我々が普段テレビやインターネットで見ている格闘技のほとんどはスポーツ格闘技であることが分かる。ではここで、一体なんの格闘技が最強なのか気になるところではないだろうか？
・最強の格闘技は？
最強の格闘技はない
最強の格闘技は何か？そんな議論をネット上でよく耳にする。
この疑問について、筆者はとある格闘家にぶつけたことがある。
彼は柔道有段者、空手有段者、数々の大会で優勝している正に猛者中の猛者だ。
そんな彼と雑談している時、最強の格闘技ってなんだと思う？と聞いてみたことがある。
彼曰く、『そんなものはない』らしい
格闘技にはそれぞれの特徴があり、また使い手も数多くいる。空手ひとつとっても、超強い人もいるし、弱い人もいる。戦い方もひとそれぞれ違うので、平均して格闘技を語ることは出来ない。そしてそんな格闘技同士を比べることなど不可能。
強いて最強の格闘技は何か答えるならば、スーパーマンのような絶対的な身体能力を持った人間が習得した格闘技だ。
と彼は答えていた。
今後、最強の格闘技を決める際の一助にして欲しい。
