ソビエト連邦発祥で「武器を持たない自己防衛」の意味を持つサンボ
「安全」という言葉を意味するロシア語のない国で生まれた格闘技とはいったいどのような格闘技なのか?
その強さと成り立ち、ヒョードルやヌルマゴメドフとの関わりについてこの記事で解説していきます
サンボとは
ソビエト連邦で開発された格闘技です。
ソビエト連邦においては軍隊格闘術としても使用されています。
現在では、ロシアの国技となっていて
投げ技、打撃、キック等、格闘技のあらゆる技を使いますが、最も特徴的なのは相手の体を破壊することを重視した関節技が多いことです。
普通の格闘技ではみられない特殊な動きも多く、初見殺しで骨を折られてしまうようなこともあるようです。
また、サンボは競技性を高めたスポーツサンボと元々使用されていたコンバットサンボの2種類があり、主な違いとしては
スポーツサンボ・・・投げ技、寝技中心
コンバットサンボ・・・投げ技、寝技以外に打撃が認められている
現在日本ではスポーツサンボが主流となっており、コンバットサンボを習うことができるジムはほぼありません。
ここでは元となっているコンバットサンボについて解説していきます。
サンボの歴史について
サンボは1920年代、ソ連における軍隊と警官の訓練を目的とし、自己防衛のための特別な格闘技として誕生しました。
1930年代、当時のソ連は、各共和国の多くの民族格闘技を研究し、関係者達を参集させ、新しい格闘技の「サンボ」の体系をつくりあげました。関わった人物の代表例として、当時、ソ連の陸軍将校であったビクトル・スピリドノフという人物が挙げられます。彼は元となる護身術サモザシータ・ビズ・アルジャー(サモズ)を創始しました。サモズ開発に当たっては、グルジアで発達したチタオバ、ウズベキスタンのクラッシュなどソ連の様々な地域の民族格闘技が取り入れられたとも言われています。
サモズは軍隊での格闘教練に取り入れられ、やがてサンボと呼ばれるようになり、現在では創始され約90年の歴史を築いています。
サンボは特に柔道やレスリングを元にしており、投げ技の動作などは柔道に共通しているものが多いです。毎年世界選手権大会が開催されていますが、柔道やレスリングと比べ、格闘技としてあまり知られていません。
サンボの強さについて
サンボは世界最強の格闘技として名を上げる人も多く、特に関節技は格闘術として非常に優れており、ロシアの軍隊や警察では重点的に訓練されています。
また特筆すべき点として、相手を自身の肉体のみで殺害する技術が多分に含まれており、関節技で相手の体を破壊することを重視しています。
急所を攻めるのは当たり前で、刃物への対処や立った状態での関節技に特に秀でています。組み合った状態からの関節技、絞め技の攻防が特に発達しているため、組み付けば無類の強さを誇ります。
そして「絶対に自分が怪我をしないこと」をモットーとし、相手をいかに素早く戦闘不能にするかが重要になります。そのため他の格闘技では反則となることが多い、投げてからそのまま骨を折る技や、頭突きや目をえぐり出すなど危険な技が多く含まれるのも特徴です。
また軍隊や警察で取り入れていたこともあり、相手と対峙するときには強く要求される注意点があります。
それは「状況を正確に判断する」ということ。相手が身につけている物品、年齢、体格、表情、構えなどを見て、どうやって制圧すべきかを常に判断します。
こういった洞察力が身につくのもサンボの強さの秘密でしょう。
サンボの使い手について
エメリヤーエンコ・ヒョードル
日本で最も有名な使い手は、60億分の1の男として名を馳せたエメリヤーエンコ・ヒョードル氏でしょう。2000年代日本最大の総合格闘技団体「PRIDE」にて約10年間無敗(アクシデントによるTKO負けを除く)を続け、世界最強の男と呼ばれていました。そんな彼はプロ格闘家として活動する傍らコンバットサンボの大会にも出場し、世界選手権で4度の優勝を果たしています。
ハビブ・ヌルマゴメドフ
またロシア人史上初UFC世界王者の快挙を成し遂げ、2021年の引退まで無敗で活躍していたハビブ・ヌルマゴメドフ氏も世界コンバットサンボ選手権にて2度の優勝を果たしています。
ロシア出身の彼ら2名の強さの裏にはサンボがあったと言っても過言ではないでしょう。
まとめ
この記事ではサンボの歴史や強さ、使い手について説明しました。
以下に記事をまとめると
・サンボはソ連で生まれたロシアの国技
・ソ連時代には軍術格闘技として使用
・サンボの特徴は急所を突く技や、骨を折ることを目的とした関節技がある
・絡みつけば無類の強さを誇る
・かつて名を馳せたヒョードル氏もサンボの使い手
ロシア出身の有名格闘家はサンボを使用していることも多く、今後もヒョードル氏の様な偉大な選手を生み出すのはサンボからかもしれませんね。
今後も期待大な格闘技として注目してみてはいかがでしょうか?